■弁(バルブ)

  弁は古くからバルブと呼ばれ、配管の中でもっとも重要な役割を果たす機器です。バルブの操作によって、プラント・船舶などの運転が開始し停止されます。バルブの開閉が不調になり、装置の運転に重大な支障をもたらすこともあります。装置には各種のバルブが多数使用されており、配管材料費の50%を占め、配管材料としては管(パイプ)と並ぶ重要な部品といえましょう。
  バルブは、その使用目的によっていろいろな形式があります。しかも、使用する形態すなわち主に流体の種類、圧力、温度などの条件によって選定されます。

 A.機能上で大きく分けると、
  (1)流れを止めるもの。古くは止め弁と呼ばれている玉形弁(グローブ弁)、仕切弁(スリース弁、ゲート弁)。肘弁(アングル弁)は玉形弁の形がL字になったもの。最近では少なくなったプラグ弁、コック。ボール弁、蝶形弁(バタフライ弁)、ダイヤフラム弁。
  (2)流れを一定方向に保つために、逆流を防ぐ役目をする逆止弁(non-return)。スイングチャッキ弁、リフトチャッキ弁。玉形弁と逆止弁機能が一緒になった玉形ねじ締め逆止弁もあります。
  (3)容器内が安全に保持されるための安全弁、逃し弁、減圧弁の類など。の3種類となります。

 B.圧力による区分では、JIS 5K、10K、20K、JPIクラス125〜2500、ANSIクラス125〜4500などがあります。油圧配管では210K(21MPa)。最近はMPa表示の仕様書が出てきています。

 C.材料による区分では、青銅、鋳鉄、鋳鋼、鍛鋼、ステンレス合金鋼などがあります。また、上記の材料にガラスライニングやゴムライニングを施したもの、塩化ビニルやポリプロピレンなどのバルブなどもあります。

  仕切弁と玉形弁の構造は、2つの同じ基本パーツから成り立っています。すなわち弁箱(ボディー)と、ふた(ボンネット)です。弁箱の中に弁体(ディスク)と弁座(シート)があり、ふたにはグランド、弁棒(ステム)、ヨーク、ハンドルが組み込まれます。
  OS & Y(アウトサイドスクリュー・アンド・ヨーク)という記号があります。これは通常外ねじタイプを呼ばれ、弁棒のねじ部分がふたの外にあり、弁体が開くときに弁棒が上昇することを示しています。運転中に弁の開閉度がわかるなどの利点があり、広く用いられています。また、内ねじタイプの仕切弁の中には、船舶用では指示板がついているものもあります。輸出仕様書などには、non-rising stem や rising-stem などの注釈を見ることもあります。前者は弁棒が上がってこない仕切弁で、後者は弁棒が上昇するものです。
  特殊な利用では、ニードル弁は、玉形弁の変形で弁体が流量調整できるように細長い形状になっています。ただし、あまり精度を要求しない流量調整に限ります。
  ダイヤフラム弁は、弁箱とふたの間をゴム隔膜で仕切っていて、流体がふたや弁棒には接しないバルブもあり、化学薬品などの用途に向いています。

 


【参考文献】配管の本  (1994 社団法人日本プラントメンテナンス協会発行)